誰かに探偵をつけられている気がする、もしくは実際につけられていた――そんな状況に強い不安や恐怖を感じていませんか?
「探偵をつけられたら精神的苦痛で訴えることはできるのか」と悩んでいる方に向けて、違法な尾行や調査の基準、慰謝料請求の可能性について、わかりやすく解説します。
探偵をつけられたら精神的苦痛で訴えることはできるのか?
結論から言うと、探偵をつけられた精神的苦痛だけでは訴えることは難しいです。
それよりも重要なポイントなのが、探偵の調査が合法なものか違法なものかということになります。
合法の調査をしていた探偵を訴えることはできない
探偵が行う調査の中には、法律に則って実施される「合法な調査」があります。
たとえば、依頼人の配偶者の浮気調査で、公共の場からの尾行や張り込み、聞き込みなど、プライバシーを不当に侵害しない範囲で行われる調査は、法律上も認められている行為です。
このような正当な業務の範囲内で探偵が行動していた場合、それを理由に訴えることは基本的にできません。
精神的に不快に感じたとしても、それだけでは違法とは認められにくく、慰謝料請求も難しいのが現実です。
ただし、探偵の行動がエスカレートし、必要以上に長時間尾行したり、頻繁に同じ場所で張り込みを行っていたりする場合は、状況によって判断が分かれる可能性もあるため、具体的な事情の確認が必要になります。
違法な調査をしていた探偵なら訴えることができる
一方で、探偵の調査が法律に違反していた場合には、訴えることが可能です。
たとえば、以下のようなケースが該当します。
- 自宅や私有地に無断で侵入して撮影・録音した
- GPSを勝手に取り付けて位置情報を取得した
- 偽装や詐欺的な手法で個人情報を取得した(なりすましなど)
- 長時間にわたる過剰な尾行・張り込みで生活に支障が出た
このような違法行為によって精神的な苦痛を受けた場合は、プライバシーの侵害やストーカー規制法違反、不法行為に基づく慰謝料請求が可能になることもあります。
証拠としては、探偵の行動を記録した写真や動画、GPS履歴、日記、通報記録などが有効です。
実際に訴える際には、弁護士に相談して法的な手続きを進めるのが安心です。
違法な調査を受けたと感じたら、まずは事実を記録・整理することが重要です。
探偵の合法調査と違法調査の範囲
ここではどのような探偵の調査が合法で、どのような行為が違なのかということについて具体的に解説します。
探偵の合法調査の範囲
探偵が行う調査には、法律で認められている「合法な調査」があります。
これには、対象者のプライバシーを侵害しない範囲での情報収集が含まれます。
たとえば、以下のような行為は合法とされています。
- 公道や商業施設など、誰でも出入り可能な場所での尾行・張り込み
- 本人の許可を得た第三者からの聞き込み
- SNSやインターネット上の公開情報の収集
- 建物の外からの写真・映像の撮影(私有地に入らない範囲)
探偵業法では、探偵業者は依頼者の正当な利益を図るために調査を行うことが前提とされています。
つまり、浮気調査や行方不明者の捜索、従業員の不正行為調査などが代表的な合法調査の範囲です。
これらは警察とは異なり民間の範囲でできる調査であり、調査対象者の権利を侵害しない形で行われていれば、法的な問題は生じにくいとされています。
探偵の違法調査の範囲
探偵が業務の範囲を超えた行為をすると、それは「違法調査」となり、法律に抵触します。
違法調査には、個人のプライバシーを過度に侵害する行為や、犯罪行為に該当するものが含まれます。
具体的には以下のようなものがあります。
- 許可なく私有地・建物に侵入しての撮影や録音(住居侵入罪など)
- GPS機器を無断で対象者の車両に取り付けて追跡する行為(依頼人の車に取り付けるのは問題なし)
- 他人になりすまして個人情報を取得する(成りすまし、詐欺罪の可能性)
- 録音禁止の場所での隠し録音
- 過剰な尾行・張り込みで精神的苦痛を与えるような行動(ストーカー規制法違反など)
これらの行為は、探偵業法だけでなく、刑法や民法、個人情報保護法などにも違反する可能性があります。
違法な調査を受けた側は、損害賠償請求や刑事告訴を行うこともできるため、探偵業者にとっては重大なリスクです。
依頼者であっても、違法な調査を指示した場合には共犯とみなされる可能性があるため、注意が必要です。
探偵をつけられたら精神的苦痛で訴えることはできる?のまとめ
探偵に調査されて精神的苦痛を感じた場合でも、調査が合法であれば訴えることは難しいです。
しかし、違法な調査(GPSの無断設置や私有地侵入など)であれば、慰謝料請求や訴訟が可能です。
合法と違法の線引きを理解し、必要なら証拠を集めて専門家に相談しましょう。